STAFF BLOG

スタッフブログ

EVENT 2025年06月20日

富岡市役所

前回のブログ(https://build-sekkeishitsu.co.jp/blog/post_217.html)で世界遺産富岡製糸場を紹介しましたが、そこからほど近く…



訪れたのは富岡市役所
今、あることで話題の建築です

設計は隈研吾氏、ルーバーや軒天など内外装に木材を取り入れた意匠が代名詞となっている建築家です。
富岡市役所は、この土地の特徴である路地、養蚕農家にみられる越屋根などを、建築言語として表現した建築となっています。

さて、冒頭で触れた話題になっている「あること」とは、木材の劣化問題です。
メディアで報じられている箇所を実際に見てきました。


確かに軒天の一部が著しく腐朽しています。

『日経アーキテクチャー』(2025.03.27)の記事によると、隈氏は原因について次のように説明しています。
・不燃性能が求められる軒裏には不燃薬剤を注入した野地板合板を使用
・厚みのある野地板合板の暴れを抑えるため、先端にL字形アングル取り付けていた
・何らかの原因で表出した薬剤が、L字形アングルの錆止め塗料を溶かし発錆につながった
・生じた錆がアングルと屋根の水切り金物の間に設けてあった隙間を塞いだ
・それにより水が軒裏に周り込み、雨染みとなった

実際に軒の先端のL字形アングルに錆が確認でき、箇所によっては膨張の度合いも大きいです。


雨仕舞について改めて色々調べてみました。
水の流れは、込み、跳ね返りといった周囲の環境による要素のほか、水そのものの性質(親水性、表面張力)によっても異なります。毛細管現象が生じると水は上方にも伝っていきます。
今回は錆の膨張によって隙間が狭くなったことで水が軒裏に侵入したと分析されています。


修繕方法は、鉄部のさびを取り除いた上で、密着性の高い防錆(ぼうせい)塗料を塗布する方法で、しばらくは経過観察した上で修繕に移るそうです。




富岡市庁舎の建物全体についても見ていきましょう


建物正面には市民の集いの場としての広場があります



分散したボリュームの配置計画で路地を歩くような体験を演出、裏の住宅街へも抜けられます
   

3層吹抜けを囲み緩やかに昇る階段はホールに一体感を生みます
越屋根の形状とすることでハイサイドライトから光が差し込み、また実際の越屋根と同様自然換気効果も生まれます。
     

ガラス手摺に施されたプリントと「きびそ」と呼ばれる生糸を使った壁紙が、モアレ現象を起こし揺らぎを演出
  

こうしてみていくと、地域の特徴を活かしたコンセプトとその表現力はさすがだなというふうに感じます。
木材の使い方については、やはり慎重さが求められるということが反省・教訓になるかと思いますが、
この事例を活かして木材利用の発展・拡大に繋がっていけばいいなと思いました。

池内

 

お問い合わせや資料請求は
以下よりお気軽にご連絡ください。

MAIL メールでのお問い合わせ フォームへ
PHONE 電話でのお問い合わせ tel.052-772-2421 (営業時間 9:00〜18:00 )