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EVENT 2025年08月08日

ロサンゼルス研修 vol.10

ロサンゼルス研修 vol.10は橋本です。

フランク・ロイド・ライトとルドルフ・シンドラーとても近い人物
「リチャード・ノイトラ」のご紹介。

ロサンゼルスのシルバーレイクに建つ「VDLリサーチハウス」。
ここは近代建築家リチャード・ノイトラが、自らの家族と暮らしながら設計の実験を繰り返した特別な住宅です。
ウィーンからロサンゼルスへ

1892年、オーストリア・ウィーン生まれのノイトラは、若い頃から近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの作品に憧れていました。
1923年に渡米すると、同郷の建築家ルドルフ・シンドラーの事務所に加わります。シンドラーもかつてライトの弟子であり、ライト邸での経験を経てロサンゼルスに拠点を構えていました。

ノイトラはしばらくシンドラーの自邸に同居し、共に仕事をします。
しかし、やがて二人は設計思想の違いから距離を置くようになります。
とはいえ、この時期の交流はノイトラの後の作品に大きな影響を残しました。


VDLリサーチハウス ― 光と反射の舞台



1932年、オランダ人実業家C.H.ヴァン・デ・リーの支援を受けて、ノイトラは自宅兼アトリエ「VDLリサーチハウス」を完成させます。
その名は支援者の頭文字に由来します。

この家は、ガラスとスチール、アルミといった当時の新素材をふんだんに使い、光と反射を巧みに操る実験場でした。
浅い水盤に建物を映し込み、視覚的に空間を広げています。


今は水が張られていませんでした。

外と中の境界をガラスで曖昧にし、都市住宅でありながら自然の広がりを感じられるようにしています。




さらに、家族の暮らしと建築事務所の機能を一体化。
「暮らし」と「仕事」が同じ屋根の下で交わる、現代的なライフスタイルの先取りでもありました。



解説をしてくれたエイミー(仮)





目の前が大きな道路ですが、巧みに窓の高さで視線を切り緑をふんだんに取り入れいます。

バルコニーにも水盤があり、光を取り入れています。







階段の天井に鏡を張ったり、壁かと思えばキッチンとリビングをつなぐ扉だったり、様々な実験がされています。





ダイニングのサッシも片引きで大きく開きます。
手すりの上の部材がサッシのレールです。空中に浮きながら開ける。

斬新。







寝室も水盤に面しており、ゆらめきが天井に反射します。

右手奥のミラーに取っ手があります。

開けてみるとリビングの横のバルコニーに出られます。




まだ上へ。

小さな土地を最大限生かすのがノイトラ。





屋上ペントハウス。




左上の青いダイヤの場所はジャグジー。
屋上でコンサートもしていたそう。


ここで師弟三人の設計思想のまとめ。

    フランク・ロイド・ライトは、自然の地形や植生と一体化する「有機的建築」を追求しました。

    ルドルフ・シンドラーは、屋外と屋内を自由に行き来する生活空間を提案し、共同生活や半屋外的な空間を重視しました。

    リチャード・ノイトラは、都市という限られた敷地で、技術と人間心理を融合させた快適な空間を目指しました。

同じウィーン出身で、同じ巨匠ライトを師と仰ぎながらも、三人のアプローチは異なります。
ノイトラの自邸は、その違いを最もコンパクトに、そして現代的に体現した建築と言えるでしょう。

ノイトラはアメリカで有名な建築企画「ケース・スタディーハウス」にも参加し名声を広げていくことになります。

次回はケーススタディーハウスのお話です。
お楽しみに!!

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