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EVENT 2025年04月25日

シン・メタボリズム?

皆さんこんにちは。黄砂と花粉で目が開けられない浅田です。

4/13より大阪万博が開催されましたね。万国博覧会とは「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにSDGsが達成された社会を目指すための博覧会です。そのため我々建築業界とは切っても切り離せない関係にあります。
大阪では1970年にも万博が開催されており、その時期に発足されていたメタボリズムという思想はみなさんご存じでしょうか?
『メタボリズム…新陳代謝』
メタボリズムは高度経済成長期による急激な人口増加や都市更新が行われている社会を生命体として捉え、建築や都市も社会変化に合わせて有機的に成長・変化すべきだと主張する建築思想です。

・タカラビューテリオン(設計:黒川紀章 施工:竹中工務店)

大阪万博1970で建設された国内企業館になります。小劇場、トイレ、バス、応接室、空調室等をそれぞれ独立させた“カプセル”とし、ジャングルジムのようなグリッド内に収まるという構成で、それぞれの空間はグリッド単位で移動可能で多様に変化します。カプセルの組み合わせは効率性を高め、実際に組み立ては一週間ほどで完了したそうです。大量生産、大量消費されていた世の中に対応できる建築となっています。

・中銀カプセルタワービル(設計:黒川紀章 施工:大成建設)

タカラビューテリオンは構成要素ごとのカプセルの考えでしたが、一個人の生活空間をカプセルとしてとらえたのが“中銀カプセルタワービル”になります。人口増加、好景気と言う社会背景から家族構成の変化、ビジネスマンの増加を想定して設計された建築になります。老朽化した際、そのカプセルだけを取り外し修繕することが想定されました。

カプセル更新が前提とされた上記の建物は、実際のところメンテナンスにおいて技術力が追い付かず再構築されずに取り壊されています。また、目まぐるしく変化する社会に“建築”を対応させており、“人々の豊かな生活”には対応していませんでした。
現代において目を向けるべきなのは“人々の豊かな生活”に対応する柔軟な建築、メタボリズム改めシン・メタボリズム建築なのでは無いでしょうか?
開催されている大阪万博2025において休憩所、トイレ等の公共施設はコンペによって選出された若手建築家によって設計されています。その中の米澤隆氏のトイレはシン・メタボリズムとも言えます。

・トイレ5(設計:米澤隆 施工:株式会社西村工務店)

このトイレは積み木のようにユニットを積み重ねることで建築を構築する仕組みにより、閉会後はユニット単位に解体し、公園や広場などに移設し、その場に必要な数や形に組み換えることができる計画です。

メタボリズムのようにグリッド内にはめ込む構成とは違い、ユニットは多種多様な形を持っています。ユニットごとのズレ、色のズレによって生まれる空間が利用者らの憩いの場になっています。最上部の屋根が公園に移設された時のことを想像してみます。もちろん屋根としても使えますし、縦に置いたら風よけにもなります。また、迷路状に配置すれば子供の遊具としても活用できそうな気がします。

シン・メタボリズムはメタボリズムのように空間が完結したカプセルを取り外すのではく、建築を構成する要素であるユニットを一つの単位とし、単独で完結させずに他の空間と関連付けてつなげることによって生態系のような空間づくりを行っていると思います。これは建築中心の新陳代謝ではなく、人々の変化する生活スタイルに対応するための新陳代謝なのでは無いでしょうか。社会・都市が目まぐるしく変化するものの、それに翻弄されて生活が窮屈になってしまっては元も子もないです。仕事の仕方、家族の在り方、ジェンダーレスなど変容する社会だからこそ個人に求められる生活水準を高めていくべきです。

今回の万博の若手建築家による公共施設は、使われなくなった石をパーゴラにする計画であったり、残ってしまった材木にストーリ性をもたせて意匠として扱った計画であったりSDGsを掲げたものが大変多い印象です。建築の世界に足を踏み入れて初めての万博。実際に見に行き、自己の成長につなげたいです。

以上、浅田でした。
 

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