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EVENT 2024年02月16日

島根県芸術文化センター/グラントワ

昨年の11月某日、ある建築展を見に島根県益田市を訪れました。

広島駅まで新幹線に乗り、そこから高速バスで益田市へ。
バスの車窓から外を眺めていると赤い瓦屋根が連なる風景が…。
日本三大瓦の一つ石州瓦。この土地の風土を形成する伝統の瓦です。


辿り着いた会場は島根県芸術文化センター、通称グラントワ。

建築家・内藤廣の代表作で、今回のブログのメインはこの建築の紹介です。
このグラントワも屋根・壁面とも全てあの赤い石州瓦で覆われています。


正面入口から入ると、そこは中庭を囲んだ回廊の一部。

中庭の水盤を中心に回廊が巡り、美術館、大小のホール、スタジオ、レストランなどが配置されています。



四方を囲む回廊の屋根、外側から覗き込む切妻屋根、その妻・平面の壁、それらが赤い石州瓦で覆われ、中庭全体の床に敷かれているのは同色の赤いタイル。
25m角の水盤は赤い石州瓦と空模様を色彩ごと写します。

幻想的ですが、どこか親近感にも似た居心地の良さを感じる不思議な感覚。
いつまでもここに居たいと思えるような場所でした。



打放しヴォールト天井のロビーを通って美術館へ。


「建築家・内藤廣 BuiltとUnbuild: 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」
タイトルの通り建築家である内藤廣が手掛けてきた建築、BuiltだけでなくUnbuiltまで展示されています。
ユニークなのは、内藤氏自身の中にいる赤鬼(情熱的・夢想家・場当り的・ロマンティスト)と青鬼(冷静・現実的・論理的・リアリスト)のダイアローグ形式で回想するところです。赤鬼と青鬼に語らせているせいか、ときには辛辣にときには冗談交じりに、色々なことを吐露した内容となっています。
ユーモラスながらも、卒業設計、コンペの落選案、手帳のメモ書きまで展示してあり全てを曝け出しているので、それだけ建築家としての覚悟のようなものを感じる個展でした。


展覧会を見たあと大ホールのホワイエのほうへ。

杉板型枠の強大なコンクリートの量塊がせり出し、ホールの無柱空間を構築する折半壁がそのまま表情になっています。
天高12mの空間にリング状ペンダントライトが軽やかに浮き、灯りを照らします。


ひとしきり中を見て廻って中庭に出ると夕方、いわゆるゴールデンアワーの時間帯。



瓦やタイルの表面で西日の光は細かく反射し、影とのコントラストは柔らかくぼかされていました。夕空のグラデーション、水盤の揺らぎも相まって、昼間とは違った幻想的な景色。
こんなにも表情に変化があるとは予想もしていませんでした。

  

赤鬼と青鬼のように様々な表情を持つ島根県芸術文化センター/グラントワの紹介でした。

池内

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