STAFF BLOG

スタッフブログ

EVENT 2023年12月22日

フランク・ロイド・ライト3

帝国ホテルの仕事の後、アメリカに帰ったライトは第二期黄金期を迎えます。

【カフスマン邸】

落水荘の名で知られるこの建築を、ライトの代表作として挙げる方も多いでしょう。
水平に伸びるコンクリートスラブと垂直に立ち上がる石積みの壁。そして自然のままの岩壁を落ちる滝との調和。
コンクリートスラブのキャンチレバーの技術は、帝国ホテルでも実践済みです。

これまでと違う外観の大きな特徴は幾何学的な装飾がないこと。
プレーリー住宅のように水平基調に見えますが、スクラッチ煉瓦や帯状の装飾での水平性の強調をしていません。
コンクリートスラブの塊がそのまま自然の渓谷に浮遊しているという表現…。


【ジョンソンワックス社】

ガラスチューブと煉瓦の外観で、隅部をアール状にまとめたフォルムが特徴です。
滑らかなで凹凸の無い外観はこれまでのライトの建築とは違った造形です。


内部では柱の頭部が水蓮のように広がり、最上部に載った円盤が荷重を支えるという構造。
マッシュルーム・コラムと呼ばれるこの柱が、執務空間を森の中のように演出しています。
機能的にはこの柱の中空は排水管にもなっているそうです。



【グッゲンハイム美術館】

「かたつむりの殻」とも呼ばれるこの建築。
吹抜け廻りの螺旋状のスロープは5回転して最上階に達し、上階に行くほど広がるため外観は逆円錐になっています。
5層吹抜けにはトップライトからの十分な採光。

美術館としてはエレベーターで最上階に上がり、そこからスロープに沿って下りながら絵画を鑑賞するという画期的なプログラム。
・トップライトからの自然光は調光不可
・外に倒れた壁面は絵画を展示するには不向き
・そもそも水平な場所で絵画を鑑賞することができない
という批判も当初からあったそうですが、それでも世界遺産になるほどの名建築です。


このように、帝国ホテルでの仕事を終えてからも第二黄金期を迎えたライトは、様々な構造技術にチャレンジし、自由な造形の建築を実現しました。

研修で見たヨドコウ迎賓館や甲子園会館は、ライトと弟子遠藤新の仕事のほんの一端。
その前にどのような経過を辿ってきたか、その後どのようにキャリアを残したのか。
通覧すると、ライトがいかに多くの名作を残してきたかがわかり、
また置かれた時代背景・思想の変遷が仕事にリンクしているのが見えてくるのが面白いですね。

また機会があれば別の建築家でもまとめて見ようかなと思います。池内でした。

お問い合わせや資料請求は
以下よりお気軽にご連絡ください。

MAIL メールでのお問い合わせ フォームへ
PHONE 電話でのお問い合わせ tel.052-772-2421 (営業時間 9:00〜18:00 )